窓検討の主なポイントと検討プロセス

いい家のためには窓の検討はおろそかにできない

目次

注文住宅で窓を検討するということ

注文住宅の家づくりで設備等を検討する際には、多くの施主は、建築家や設計士から受けた提案をベースに、与えられたいくつかのメーカーの商品カタログの中から商品を選択していくというプロセスを辿りますが、窓もそうした商品選択の一部として選ばれていきます。

このプロセスが悪いというわけではありませんが、受身の姿勢になりがちなので、窓についての理解を深めて、自ら窓の検討に積極的に、主体的に関われるようになっていただきたいと考えているのです。

注文住宅の家づくりにおいて、窓の検討をするということは、大きく2つあります。

一つはプランニングの中で窓の面積(開口部の大きさ)、配置(取り付け位置)、タイプを決めていくこと。

もう一つは、プランニングで絞られた条件の下で具体的に商品を決めることです。

逆にどうしても使いたい商品がある場合には、商品選択が先にありきで、その商品を使う前提でプランニングするケースもあります。

一つめの、開口部の大きさ、配置、タイプを決めていくのは、建築の専門知識や経験がないとなかなか難しいので、基本的には専門家である設計士、建築家の提案をベースにしていく方がいいと思いますが、このレポートにある知識などを生かしながら、積極的に意見を伝えてもいいと思います。

2つめの商品選択については、窓に求められる機能である断熱性、気密性、遮音性、防犯性、防火性などといった性能に加えて、使い勝手やデザイン性も考慮して最終的にはお客様のご予算と価格との見合いで決定することになります。

少し注意していただきたいのは、専門家と呼ばれる建築家や設計士の中には、意外に思われるかもしれませんが、断熱性・気密性をあまり考慮しないで提案してくる人もいるということです。

例えば、建築家と呼ばれるような人の中には、自身の美的感覚、デザイン性を重視するあまり、壁面を少なくして大きな特注の窓枠をはめ込んだりして非常に開口部の大きい(ガラス面が大きい)デザインを提案する人がいるかもしれません。

確かにおしゃれでかっこいいデザインの家になっていますが、一軒家としての住み心地はさてどうなのでしょう??という家です。

最終的にはお客様の考え方次第になりますが、住み心地を犠牲にしても見た目にこだわりたいという方でしたら、そのような家づくりもOKだと思いますが、住み心地を重視するならやはり開口部(窓)の大きさ・配置については十分に考慮する必要があります。

次に窓の検討を行うにあたってポイントとなる点について整理します。

窓検討のポイント

法規制

窓は断熱・気密の観点で弱点部分になりますが、そうなると単純に断熱・気密性能向上だけを考えれば、窓の部分というのは少なければ少ないほどその性能は向上しますが、窓面積が小さければ単純にいい家になるというものではありませんし、そもそも窓に関しても建築基準法や関係する法令により規制を受けることは認識しておかなくてはなりません。

窓は、採光、換気、防火に関して規制を受けます。

例えば、採光に関しては
「採光に有効な部分の面積は,その居室の床面積に対して住宅にあっては1/7以上にしなければならない。」と定められていますし、
換気に関しては
「居室には換気のための窓その他の開口部を設け,その換気に有効な部分の面積はその居室の床面積の1/20以上としなければならない。」と定められています。

防火に関しては少々複雑で、詳細は割愛しますが、建築物の種類や地域(防火地域や準防火地域)などでいろいろと規制を受けます。

こうした法規制についてきちんと確認してクリアしていく作業は、専門家である設計士、建築家の役割ですので、施主であるお客様が関わることはありませんが、窓の検討をする上での大前提として規制を受けるという認識は持っておいた方がいいでしょう。

窓(開口部)の大きさ

上記の法規制をクリアし、家の構造に問題が生じないように、開口部の大きさを決めていく必要があります。

大きければデザイン性、眺望、開放感でメリットを得られる可能性はありますが、気密・断熱性は落ちていきます。その辺りの兼ね合いをどのように考えるかがポイントです。

配置(取り付け位置)

窓を取り付ける高さによって自然光の入り方は変わります。季節、時間によって日の入る角度、日射量は変化しますから、大きさ、形、配置で自然光の採り入れをどのようにするか検討していく必要があります。

また窓の配置は家のデザインに大きく影響しますから、配置を決める際の重要なポイントになります。

さらにプライバシーの配慮も窓の配置検討には必要なポイントになります。

開閉方法

詳しくは「窓に関する基礎知識」を参照いただきたいと思いますが、当然ですが窓はフィックス窓以外開閉します。

その開閉方法にはいろいろあります。それよって気密・断熱性、通風、防犯性など異なりますから、適材適所で選択する必要があります。

素材

これも「窓に関する基礎知識」を参照いただきたいと思いますが、サッシの素材(アルミ、樹脂、木、複合)、ガラスの種類にはいろいろあり、性能が異なりますので、これも適材適所で選ぶ必要があります。

デザイン(形状、色)

近年では窓のデザインの幅はとても広がっていますから、様々な商品が世に送り出されています。窓は家のデザインにおいてポイントにもなりえるアイテムですから、デザイン面での検討は重要な要素です。

価格

窓だけでなく他の建材や設備もそうですが、高機能商品だったり、量産品でないと商品価格は当然高くなります。

最終的には限られた予算の中で決めていかなくてはなりませんから、求めるものの優先順位をつけて選択していく必要があります。
(価格が最優先なのか、断熱・気密性を優先させるのか、デザイン性を優先させるのか、防犯性を優先させるのか、など、こうした優先順位付けによって選ぶ商品は絞られてきます。)

窓検討のプロセス

まず法規制は絶対条件ですのでそれらをクリアした条件下で、ある程度具体的な商品を念頭に置きながら、窓の大きさ、配置、開閉方法、デザイン(形、色)を検討していきます。

ここまでは、専門家である設計士、建築家が、お客様のご要望、窓の向き、季節・時刻毎の太陽の位置(日射角度)、開閉した時の空気の流れなどを踏まえて提案してくれるはずです。

お客様は専門家ではありませんから、専門家の知識や経験が表現されている提案内容をたたき台にして検討していくのが現実的なステップになります。

ただし、設計のプロが提案してきたからといって、それが絶対というものでもありません。当たり前ですが、答えは一つではありません。
提案はあくまで提案ですから、お客様は提案の裏にある考え方を理解し、自らの意見がある場合には積極的にぶつけてみるといいと思います。

例えば、開口部の大きさ、配置、タイプなどについて、設計した背景を探りたいなら、例えば次のような質問をしてみてもいいと思います。

「どうしてこの位置にこのタイプの窓がついているの?」
とか。

なんらかの理由があって、設計してきているはずですから、回答してもらえると思いますが、その回答を聞いた上でお客様自身に何か提案があったら、要望などを伝えてみるといいと思います。

例えば、
「夏の太陽の日が差す角度などを考慮して窓の取り付け位置をもう少し低くして欲しい」とか
「庭の眺望を考慮してもっと開放的に開口部の大きな窓にしてほしい」等々

窓にこだわる施主の中には、夏至や冬至の太陽の方向、日射の角度などを自ら調査して、そのデータをもとに自ら窓の面積や配置を提案してくる人も実際にいます。

受身の方はどうしても提案をそのまま受け入れがちになりますが、このようなやり取りができるのが、注文住宅の家づくりの良さでもあります。

窓に関してだけではありませんが、こうしたコミュニケーションを図ることは、いい家づくりにつながっていくと思います。

ここまでの提案で、ある程度商品の絞込み(大きさや開閉タイプなど)ができていますので、次の段階では絞られた条件の下で、具体的な商品を検討していくことになります。

ここで、多くの施主はいくつかのメーカーのカタログを渡されて、具体的な商品の検討に入ります。(施主の中には独自でいろいろ調査したり、メーカーからカタログを取り寄せたりして商品の検討をする人もいます。)

その際には、前述した通り、施主自身の窓に求めるものを優先順位つけしておくといいでしょう。

価格最優先ならおのずと商品は決まるでしょうし、断熱性重視ならサッシの素材はアルミ以外の商品、ガラスは断熱タイプのLow-E複層ガラスの商品、というように選択肢が絞られていきます。

そうしてお客様のご予算、商品内容、商品価格との見合いで決定していくといいと思います。

窓についてよくわからないまま、予算内で何となく商品を決めていくより、より主体的に商品を選択できるはずです。

失敗しない注文住宅のための最重要ポイントとは?

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