外断熱工法のデメリット

外断熱工法のデメリットを挙げてみよう

多くの人が、外断熱工法のデメリットについて知りたがります。

まあ、それは当然のことだと思います。

2つの断熱工法である内断熱工法(充填断熱工法)と外断熱工法(外張り断熱工法)にはそれぞれ一長一短あり、そのメリットとデメリットを比較するのは道理ですし、誰でも考えられる不安点はなるべく解消しておきたいですから・・・

さて、早速以下で世の中で指摘されている外断熱工法のデメリットを列挙してみましょう。

  • コストが高い。(断熱材、施工費用)
  • 断熱工事(施工)に時間がかかる。
  • 断熱材を躯体の外側に貼ることで、壁の厚みが増し、重い外壁材は使用しにくい。
  • 外壁材の重さ、そして屋根・壁が風圧などに長期間さらされることにより外装材にゆるみが生じて、断熱材も徐々にゆるんでしまう。
  • 外側に貼る断熱材の厚さの分、壁厚が厚くなり、狭い敷地では室内の面積がとりにくかったりするおそれがある。
  • 音が反響しやすく、隣室や上下階で迷惑がかかる。
  • 夏場に屋根材の直下の断熱材が熱やせしてしまう。
  • 断熱材から火災時に有毒なガス・煙が発生する。
  • 発砲プラスチック系断熱材の製造直後からの経年変化による断熱性能の低下・変化が大きい。(10年で30%とも言われる。)
  • 断熱材の厚さは50mm程度が限界であるため、高断熱化しにくい。
  • 発砲プラスチック系板状断熱材のように、シロアリの食害を受けやすいものがある。

この中で確実にデメリットと言えるのは?

いかがでしょうか?

こうして挙げてみると結構デメリットがある印象になってしまったかもしれませんが、上記については、施工会社によってあてはまる点もあれば、そうでない点もあるので注意が必要です。

外断熱工法という全国的に標準的な工法はないため、施工会社によって使用する資材、施工内容がマチマチなので、上記で挙げた点はある施工会社ではデメリットにならないということが出てきます。

例えば、ダウ化工のスタイロフォームという有名な断熱資材がありますが、これは押出法ポリスチレンフォームなので、これを使用している外断熱工法なら、有毒ガスの発生、経年劣化による断熱性能の低下、断熱材の熱やせなど多くの点で当てはまりません。

<画像引用元:ダウ化工
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「外装材にゆるみが生じて、断熱材も徐々にゆるむ」という点は、施工会社の施工技術の問題で、外断熱工法の施工に不慣れな業者の場合にはあるいはそのようなことがあるかもしれませんが、外断熱の施工実績の多い業者では通常はそんなことはありません。

壁厚が厚くなるのはその通りですが、内断熱とは異なり、柱と柱の間に断熱材がありませんから、その空間は収納や飾り棚などで有効活用することができるので、単純にデメリットとは言えません。

こうやって上記の一つ一つをチェックしていくと、外断熱工法が施主にとって確実にデメリットと言えるのは、「コスト増になる」点と「施工期間が長くなる」という2点に絞られると思います。

外断熱工法のコスト

外断熱工法(外張り断熱工法)にかかるイニシャルコストが通常の内断熱工法(充填断熱工法)よりも高くなることは間違いありません。

外断熱工法がなぜ内断熱工法に比べてコスト高になるかといえば、材料費が高いことと、施工期間が長いことがその要因です。

外断熱施工業者によっても様々だと思いますが、外断熱工法と普通の内断熱工法を比較した場合の施主の負担増は、坪当たり5万円~最も高くて10万円程度です。(建坪や施工内容によっても変化します。)

このように内断熱工法より高くなるのは事実ですが、結局はこの初期の負担増をどう評価するかになります。
例えば外断熱のコストを坪当たり5万円程度とした場合、30坪の建物を建てるとなると、トータルで150万円くらいの負担増になりますから、施主にとって決して負担の軽いものではありません。

施主にとっては、
「やはり安い方がいいよなぁ・・・、とはいっても安くても快適性が下がるのは嫌だし・・・、やっぱり、安くて性能的に満足する家はないものかなぁ~」
と頭を悩ませることになります。

日本の住宅事情」で説明していますが、日本の家の寿命は年々伸びていて、2030年には戸建て住宅の平均年齢は29年になるという見通しがあります。
平均年齢で29年ですから、多くのケースで30年以上戸建て住宅が使用されることになります。
仮に30年外断熱住宅を使うという前提で考えると、先のケースの30坪で150万という外断熱の負担増は、年間の負担増は5万円、月当たり4,167円になります。

こうして考えてみると、確かに外断熱工法はイニシャルコストが多くかかるのは事実ですが、ランニングコストの面で光熱費が負担減になり、なによりも金額で換算できない、より快適で健康な暮らしをできるとすれば、月に4千円強の外断熱工法は検討に値すると考えますがどうでしょうか?

もちろん、最終的には施主の判断になりますが、長い間生活の基盤となる家のことですから、長期的かつ広い視野で判断いただければと思います。

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公開日:
最終更新日:2018/11/15