6つのポイントで理解する、省エネ住宅に必須の太陽光発電の基礎

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新聞やニュースでも住宅用太陽光発電の導入件数が増えていると取り上げられることがありましたが、近年私たちのお客様でも「太陽光発電の導入」を検討される方、実際に導入された方が非常に増えてきていると感じます。

こうした状況の背景には以下ようなことがあると思います。

  • 地球規模の様々な問題(地球温暖化、環境問題、食糧問題、エネルギー問題、生物多様化など)が政治や様々なメディアで取り上げられ、地球に優しい技術に関心を持つ人が増えてきたこと
  • 太陽光発電を推進する国や地方自治体、製造メーカーや販売会社が普及・認知活動を行い、一般的にもかなり浸透してきたこと
  • 住宅用太陽光発電の採算性が一昔前より向上したこと

特に三番目の採算性向上の影響が大きいと思います。

太陽光発電を導入するメインのメリットは「光熱費の削減」と「自然エネルギー活用による地球環境への貢献」ですが、一昔前は光熱費の削減といっても、投資金額を回収することはなかなかできないと言われ、採算性が成り立たない中で地球環境のためだけに高い費用をかけて導入しようとする人は環境意識の非常に高い一部に限られていました。

結局採算がなかなかとれないようでは普及も進まなかった訳です。
しかし、現在は、太陽光発電システム価格の下落(初期投資費用の下落)、電力会社による余剰電力買い取り制度、国や地方自治体の補助金制度などにより採算性が高まってきて一般的な人たちにとっても検討に値するものとして土台に上がってきたのです。

このページでは省エネ住宅に必須の太陽光発電の基礎知識として、以下の6つのポイントでご理解いただければと思います。

目次

1.太陽光発電のメリット・デメリット

太陽光発電のメリット

光熱費を大幅削減できます

太陽光発電の実質的な一番のメリットは、この光熱費の削減です。一昔前と比較すると製品の性能(発電性能)が大幅に向上したことに加えて、普及を促進しようとする官民一体となった各種助成・補助金の強化(次の項目補助金情報参照)により、投資採算性が格段に向上しました。

イメージは以下の図のようになります。

太陽光発電の売電・買電のイメージ

日中太陽が出ている時間帯は家庭使用電力を完全にカバーし、余った電気は電力会社に売る(※)ことができます。(余剰電力は自動的に買い取ってもらえるので、手間などはありません。)

それから、日が出ていない、つまり発電ができない夜の時間帯は電力会社から約1/3の料金で電力を購入します。このように余った電気を高く売って、夜間安く買うことができる太陽光発電をうまく利用すれば、光熱費は大幅に削減可能です。

さらにエコキュートとIHクッキングヒーターを導入し、家全体を石油やガスを使わないオール電化住宅にすると、オール電化との組み合わせでさらに割引になる料金制度があります。そして太陽エネルギーを生かしたエコキュートと太陽光発電の組み合わせは「ツインソーラー」と呼ばれ、新しい生活スタイルとして注目されています。

原子力政策の見直し議論、円安などの影響により、今後も電気料金の値上げ圧力が続くことが予想され、そのような意味でも自家発電による光熱費削減はますます価値のあるものとなっていくものと思われます。

※売電価格について売電単価は、経済産業省が取り決めていますが、平成22年度にそれまでの約2倍(1kWhあたり48円)となった以降は、翌平成23年度と平成24年度は1kWhあたり42円、平成25年度で1kWhあたり38円、そして平成27年度では1kWhあたり33円まで下落しています。(最新の情報は経済産業省のサイト等でご確認ください。)

ちなみに、このような売電価格は、導入時期による固定価格制度を取っていて、太陽光発電設備の設置時から、10年間適用されます。(つまり高い売電価格の時に設置しておくと10年間有利な価格で売電し続けることができます。)

今後の売電価格についてですが、今後も下落傾向にあると言えるでしょう。なぜなら、太陽光発電の売電価格も需給バランスの影響を多分に受けるからです。つまり太陽光発電が普及すればするほど、供給量は増え、価格下落圧力が高まるのです。

このような傾向が続くと予想されるため、早期の導入を検討される方が多くなっています。

環境に優しいクリーンエネルギーです

現在の地球では、人口増加、発展途上国の生活水準の向上に伴い、世界全体のエネルギー消費量は増大し続けています。そして現在のエネルギー供給で大きなウェイトを占める石油・石炭・天然ガスといった資源は地球温暖化の大きな要因と言われるCO2を排出し、限りある資源で今世紀には枯渇してしまうと言われています。こうした状況下で太陽光、風力などの自然エネルギーが注目されているわけです。

太陽光発電は、太陽光という無尽蔵の自然エネルギーを利用したクリーンエネルギーです。太陽光発電を導入することにより、日本が輸入に頼っている石油や石炭といった有限の化石エネルギーを使用せずに、CO2排出量を大幅に削減することができるため、地球環境にダブルで貢献できることになるのです。

災害や停電などの非常時の備えになります

現在の日本では停電は少なくなっているものの、今後起こりうる大地震、豪雨、台風といった災害に見舞われた時に、長期間停電になってしまう可能性があります。こうした非常時でも、太陽光発電を導入していれば自立運転モードに切り替えることで家庭内に電気を供給することができます。専用のコンセントでAC 100Vが使用できます。電気が復旧するまでにも、様々な電化製品が使用可能となり、災害時の不便さや不安感の軽減に役立つでしょう。

国や地方自治体の補助金制度が活用できます

昔は太陽光発電(生産量や導入量)では世界トップを走っていた日本でしたが、その後補助や助成を強化して普及を推進した欧州などにその座を奪われています。しかし世界規模の低炭素社会の実現に向け太陽光発電の普及に各国が動き出している中で、日本でも国や地方自治体で近年補助金などの普及促進施策を強化してきています。

補助金の情報については、次のポイントでまとめていますのでご参照下さい。

太陽光発電のデメリット

高い導入費用(イニシャルコスト)

次に説明する補助金制度や上記の売電などで、採算性が向上し一昔前よりも導入しやすくなっていることは間違いありませんが、導入にかかる初期費用としてはシステム価格が下落傾向とは言え、一軒家で100万円以上となり、決して安いものではありません。

設置状況に左右される

太陽光発電システムは太陽光エネルギーを効率よく電気に変換させることが技術の肝になりますが、それ以前にそもそもの設置状況に大きく左右されます。周辺環境を含めた家の状況、屋根の形状・向きなどの設置状況によっては、導入費用を考慮すれば設置しない方がいいという選択肢もあります。

発電量が不安定

自然エネルギーによる発電は、太陽光だけでなく、風力、地熱、水力、バイオマスなどありますが、太陽光発電は風力と並んで、天候に大きく影響され、その発電量は不安定なものにならざるをえません。パネル技術の向上により、低日照でも発電効率が向上していますが、今後も天候による不安定さの解消までにはならないでしょう。

補助金制度は不変ではない

補助金によって個人の初期投資が抑えられることで、導入を検討する人が増えていますが、補助金制度は将来的な変更や終了の可能性があります。したがって、導入時期によっては個別の負担額に大きな差が生まれる可能性があります。補助金制度が今後これまでよりも良い条件になることは考えにくく、検討中の方は早めの導入を検討された方がいいでしょう。

メンテンナンスフリーではない。

売電メーターは10年での取替えが法律で義務付けられていますし、パネルやパワーコンディショナーも交換や修理が必要になるかもしれません。(寿命ははパネル30年、パワーコンディショナーが10年~15年と言われています。)

2.太陽光発電の補助金制度

太陽光発電の設置・導入で受けられる補助金には、国・都道府県・市区町村の三種類あります。

国の補助金制度

国の補助金制度は、平成25年度時点で以下の内容で実施されていましたが、平成26年度以降は実施されていません。

1kWあたりの補助対象経費 1kWあたりの補助金単価
410,000円以下 20,000円
500,000円以下 15,000円

都道府県・市区町村からの補助金制度

これついては自治体によって異なります。各自治体の補助金情報については、以下のサイトの情報をご参照いただければと思います。

太陽光発電 自治体補助金情報

重要なことは国・都道府県・市区町村の三種類の補助金は併用が可能なため、お住まいの地域によっては三種類全ての補助金も受けることが可能だということです。

まずはお住まいの地域でどんな補助金制度が利用できるのか調べてみるといいと思います。それぞれ申請方法や申請の期限が異なりますので、もれなく申請してメリットを受けられるようにしましょう。

3.太陽光発電パネルの選択のポイント

太陽光発電システムは、日本国内だけでも数多くのメーカーが凌ぎを削っています。
(シャープ、京セラ、パナソニック、三菱、東芝、ソーラーフロンティア、サンテックパワー、カナディアンソーラーなど)

どのメーカーのシステムを導入すべきか検討する際には、製品の性能比較をする必要がありますが、比較のポイントは以下の3つです。

  • 製品価格
  • 性能(発電量、変換効率)
  • 保証内容

製品性能については日進月歩なので、最新の製品をよく比較検討しましょう。
ちなみに現時点ではパネルについては主に以下の4種類(上から価格が高い順)あります。

  • ハイブリット型(パナソニック)
  • 単結晶シリコン(シャープ、三菱、東芝)
  • 多結晶シリコン(京セラ)
  • 化合物<CIS>(ソーラーフロンティア)

この中では価格が高いだけあって、ハイブリット型が性能がいいと言われています。
ということで、多少高くても性能がいいならハイブリット型を選択しようか、という人もいると思いますが、最終的に製品を選択する場合には、単純に製品性能だけで決めてはいけません。

製品性能以外に考慮しなければいけないのは、設置する環境(屋根面積、形状、角度、周辺環境など)です。もし屋根面積が広くパネルを多く並べられるなどの設置条件がよければ、価格の高いハイブリッド型にするまでもないかもしれません。
(参考までに、価格と発電量を比較する指標として「出力1W当たりの単価」を考慮することが多いのですが、この単価では多結晶シリコンが安いと言われています。)

ハイブリット型については、単位面積当たりの出力が高いので、例えばあまりパネルを並べられないような狭い屋根の場合には、考慮に値すると言えます。
それから、パネルだけでなく、パワーコンディショナーの効率も発電量に影響するので、この点も考慮する必要があるでしょう。

4.太陽光発電の採算性(どのくらいで元がとれるか?)

以前は導入しても回収できないとも言われた住宅用太陽光発電システムですが、太陽光発電システム価格の下落、発電効率の向上、助成や補助金などの普及促進施策により採算性は向上し、投資回収期間はかなり短くなるケースもでています。

2009年に経産省によって新築時には初期投資を10年程度で回収可能にする方針が発表され、2009年11月から余剰電力を従来の2 倍程度(48 円/kWh)で買い取る制度がスタートしてからは、投資回収可能期間はかなり短縮されてきました。

一昔前では通常20年~25年で回収可能と言われていましたが、現時点では条件が良ければ、ひと昔前よりもかなり短期間でも回収できるケースがあると思います。
(太陽光発電の耐久年数は30年と言われていますが、例えば15年で回収できたとすれば、残りの15年で収支は大きくプラスに転じることになります。)

ただし、回収期間がどうなるかは以下の様な諸条件次第です。
導入や運用の仕方を間違えると元がとれないこともあるかもしれないので、注意が必要です。

回収期間の短縮(採算性向上)のための諸条件

初期投資をおさえる(安く導入する)

何と言っても安く導入できれば、採算性には大きくプラスです。当然投資回収期間は安い分だけ短くなります。

いい発電条件

発電条件は、製品性能、屋根の形状、大きさ、角度、日照条件などによって、変化します。製品性能は割合比較しやすいですが、それ以外(それぞれの地域環境、屋根の形状、大きさ、角度、日照条件など)の発電に与える影響については、業者にシミュレーションしてもらうといいでしょう。

家族の節電意識

太陽光発電システムを導入すると、発電と電気の使用状況が目に見える形でわかるので、家族の節電意識が高まるメリットがあるようです。決して苦痛ではなく、ゲーム感覚で楽しんで節電に励んでいるご家族もあり、このような節電状況が日常になれば、採算性にも寄与します。

売電価格

当たり前ですが、売電価格が下がれば、採算性は確実に悪化します。
近年続いている売電価格の下落は採算性にかなりの悪影響を与えています。
今後も下落傾向は継続すると考えられるため、この点についてはコンサバにシミュレーションをしておく必要があります。

いずれにしても、初期投資と回収期間については、導入検討にあたっていろいろと上記の条件を変えてシミュレーションしてみるべきだと思います。

5.太陽光発電の価格(導入費用)

さて、採算性向上のための第一の条件は、初期投資を安くおさえることと言いましたが、企業間の価格競争により太陽光発電の導入費用は、年々下落傾向にあるので、導入を検討されている方にとっては朗報だと思います。

一昔前までは発電量1kwあたり60万円から70万円でしたが、平成25年度現在では1kwあたりのシステム単価が50万円以下でないと、国の補助金対象にならないこともあり、発電量1kwあたり40万円台が当たり前になってきました。ちなみに現時点では一般的な住宅用太陽光発電システムで4kwの標準的な価格は200万円くらいが相場といわれていますし、実際に100万円台で導入される方も多くなってきています。

6.太陽光発電の成功の鍵は業者選定

ここまで、いろいろと太陽光発電の基礎知識を説明してきましたが、最終的に太陽光発電を導入するにあたり成功の鍵となるのは、間違いなく業者選定です。

製品の性能比較については、製品価格、性能、保証内容がポイントだと前述しましたが、確かにカタログ値ベースでは自分自身で比較検討が可能ですが、実際には業者に見積りをとったり、保証内容をヒアリングしないと比較できません。
製品価格については同じ製品でも業者によって価格が異なる可能性がありますし、保証内容についてはメーカー保証だけでなく、業者独自の保証をつけているところもあります。そして設置環境によってどのくらいの性能を発揮できるのか、については個人レベルではなかなか判断できるものではないため、業者のアドバイスが重要になってきます。

更に、工事費(設置施工)関連については、業者によってかなり差が出る可能性があります。自宅の屋根の種類・形状・面積、屋根の向き(光の当たり方)などの設置環境によって業者ごとに大きく見積り金額が変わる可能性があるのです。(製品自体は既成品ですが、工事は完全にオーダーメイドで施工するしかありませんから業者によって施工内容や金額にバラツキが生じます。)

したがって、いくつかの業者から見積りをとり、施工内容などをヒアリングしたりして、業者の比較検討してみるべきです。
見積りについては自分で一社一社調査して見積りをとってもいいのですが、それは大きな手間になります。現在ではいくつも一括見積りサイトがありますので、そのようなサイトを活用する方が時間節約になりますし、手っ取り早く情報入手できて勉強になるのでおすすめです。
それから、最終的な判断は単純に価格だけでなく、施工実績、施工技術力も考慮してください。
製品自体も重要ですが、施工も同等に大事です。施工が悪ければ、発電量にも影響しますし、製品の故障にも繋がりかねません。最悪雨漏りにでもなってしまったら目も当てられません。ということで、価格とともに施工実績、施工技術力にも注目しなければなりません。

失敗しない注文住宅のための最重要ポイントとは?

このサイトでは注文住宅の家づくりに関していろいろな情報を提供していますが、その目的は注文住宅の家づくりに成功していただきたい、というただ一点に集約できます。

それは、裏を返せば、注文住宅を建てたけれどその後の新居での生活に不満が残る、後悔している部分がある、という方が結構いるという現状認識に基づいています。

簡単にはいかない注文住宅の家づくりですが、失敗しないためポイント(成功するためのポイント)は多岐にわたります。

このような数多くのポイントの中で管理人が最重要ポイントを位置づける点は何でしょうか?

公開日:
最終更新日:2016/09/07