自然素材はピンキリ

自然素材の理解を深めよう!

実は、建築おいて「自然素材」という呼び方に明確な定義づけはありません。

他のページで、自然素材を「自然(天然)由来の材料をベースにした建築資材」とごく簡単にご説明しましたが、法律で何をもって「自然素材」と呼んでいいか明確な基準はないため、世の中で「自然素材」と呼ばれているものについては、その品質はバラバラなのが実態です。

通常の感覚で言えば、建築で「自然素材」と呼ばれているものは、100%自然由来の材料で作られている建築資材だと思うのではないでしょうか?
事実は違います。

一例を挙げてみましょう。

既に知名度の高い「自然素材」として珪藻土がありますが、一口に珪藻土と言ってもいろいろあるのはご存知でしょうか?

珪藻土は昔から壁土として使用されてきた「自然素材」ですが、珪藻土そのものに接着能力はないため、接着能力のある素材をつなぎとして混ぜて固めることで初めて塗壁材となります。
この接着能力のある素材(固化剤)の種類と珪藻土の配合割合が問題です。

まず固化剤ですが、多くのメーカーで合成樹脂を使用しています。

施工の手間やコストを重視して合成樹脂を使用しているのですが、合成樹脂を含んだ壁材を「自然素材」と呼べるでしょうか?

「自然素材」と呼ぶためには、つなぎの固化剤も「自然素材」であるべきです。

合成樹脂を固化剤として使用する一番の問題点は、自然素材の大きなメリットである調湿効果を阻害してしまうということです。

したがって「自然素材」の良さをきちんと活かそうとしているところでは固化剤は「自然素材」である漆喰の原料の「石灰」を使用しているケースがほとんどだと思います。

また珪藻土の割合も問題です。

珪藻土の割合については、基準がないため、少しでも珪藻土が含まれていれば、珪藻土壁材と呼ばれてしまいます。

つまりほとんどがつなぎの合成樹脂であっても、少し珪藻土が含まれていれば、表面的には「自然素材」としてみなされる可能性があるということなのです。

珪藻土の割合については、明確にしているメーカーはあまりありませんし、明確にしているところでも、60%もあれば高い方です。

珪藻土の割合だけで性能の良し悪しが決まるわけではありませんが、基本的には割合が高い方が珪藻土の持つ特性(調湿、消臭、耐火、抗酸化など)を引き出しやすくなります。
(ただし、高すぎると、うまく固まらなかったり、施工性が落ちたりするので、その辺の配合割合はメーカーの研究の成果に基づいて決められています。)

これで世の中の珪藻土というものが、いかにバラバラで品質に差があるか、ご理解いただけたと思います。

珪藻土はわかりやすいケースですが、とにかくこのような何だか詐欺のような話がまかり通るのが「自然素材」の世界です。

無垢材についてはないと信じたいのですが、現在は技術的に発達したため見た目だけでは無垢材にしか見えない板が多くあります。突き板と呼ばれるようなものですが、これを「自然素材」としてお客様に紹介している業者がどこかにいてもおかしくはありません。

それほど世の中で「自然素材」と呼ばれているものについてはいい加減な部分があります。

それから、話は逸れますが、「ハウスメーカー、ビルダー、工務店などの業者は、「自然素材」を熟知しているだろう」と考えたら、多分それは間違いです。

営業トークとして
「自然素材はすごくいいものですから、どうですか」とか、
逆にハナから
「コストが高いし、メンテナンスが大変だからやめた方がいいよ」
というようなことを表面的に話すだけで、内容についてはそれほど詳しく知らない人が多くいると思います。

多分「無垢材から化学物質が出ているって聞いたけど、どんな種類?」と質問しても、きちんと答えられる人は少ないでしょう。

話を戻しますが、とにかく表向きは「自然素材」を装っていても品質はピンキリで、中にはとても「自然素材」と呼べないようなものも含まれている可能性があることは認識しておくべきだと思います。

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公開日:
最終更新日:2016/09/23