施主参加型の家づくり

これからの家づくりで求められること

日本人はお任せ気質?

日本人は、その性格というか、気質というのか、何かをお願いするにあたって、お任せというスタイルをよくとります。

「これは、日本人というよりは、その人個人の考え方や性格によるものじゃないか。」という方もいると思いますが、例えば、日本料理、鮨屋、飲み屋などでは、「お任せ」というオーダーの仕方がありますし、他に何か依頼するときにも、「お任せします。」ということがしばしばあるように、日本人の一つのスタイルとして確立されているような気がします。

この背景には、相手をその道のプロフェッショナルということで、全面的に信頼してお任せするということなのでしょうが、何かをオーダーするときには明確な意思表示をする外国人には、信じられないことのようです。

このことは、家づくりでもよく見受けられます。

建売住宅はお任せ住宅

まず、「お任せの家づくり」の最たるものとしては、建売住宅があります。
この建売住宅という物件を見て回って比較検討する人は、家を「つくる」ものではなく、商品の一つとして「買う」というスタイルの方です。建売住宅については、既に完成しているので、カラーリングやヴィジュアル面で、注文住宅のようにイメージから外れることがないため、すんなりと受け入れやすい面があります。

しかし、結局完成しているものですから、そのスタイル、間取り、使用している資材など全面的に受け入れて、そこに自分自身も含め、家族の生活スタイルを合わせざるを得ません。家という完成形に、生活スタイルを合わせるというのは、どうしてもどこかに無理が生じますし、家に対する不満の原因になりやすくなります。

また、建売住宅については、見た目をその時代のトレンドに合った一般的に売れやすいデザインとして、美しく仕上がっていますが、その建て方は全く見えません。
家というものは、見えない部分にこそ、快適性や安心・安全性のポイントがあります。基礎、柱、梁、断熱材など家の機能を支える多くの重要な部分は最終的には隠されてしまいますが、建売住宅では、その建築過程を見ることもないため、全くわかりません。
そして、住宅のコストダウンというのは、主にその見えない部分で行われますので、その完成した家は、建築サイドの論理でつくられたものとなり、購入する側には、極端なコストダウンにより仮に欠陥住宅になっていたとしても、全くわからないままその家に住むことになってしまいます。

もちろん、建売住宅で満足されている方も沢山いると思いますので、その在り方を全く否定するものではありませんが、少なくとも建売住宅では、資産価値を考慮した家づくりにはほとんどなっていないと思いますので、建築後20年後には、これまでの日本の住宅のように資産価値ゼロの家になってしまう恐れがあることは念頭に置いておいた方がいいと思います。
(この点の重要性については、「資産形成になる家づくり」で詳しく説明したいと思います。)

注文住宅で積極的に家づくりにかかわろう!

家を「家族が毎日快適に気持ちよく過ごすための基盤」とするなら、まず家族の生活、ライフスタイル、考え方が最初にあって、そこに家をあわせてつくる、つまり建売住宅とは発想が逆の注文住宅に利点が多いと言えます。

しかし、注文住宅でも、本来の施主として役割を果たさず、受け身の姿勢で、ほとんど業者にお任せという方がいます。

ご存じのとおり、注文住宅では、発注者である施主(建主)が請負者である建築業者に家づくりの完成を請け負ってもらって、完成の報酬として契約金額を支払う形になりますが、発注者である施主の方の中には、業者の選定作業、契約金額の交渉にばかり力を入れて、肝心の自分自身が新しい家に何を求めるのか、つまり将来像も含めて、家族がどんな暮らしをしたいのか、新しい家と共に家族がどのようなライフスタイルを築いていきたいのか、という家づくりを始めるにあたっての根幹になる部分の検討を十分に行っていない方が結構いるんじゃないでしょうか。

確かに、家づくりを始めるにあたっては、施主もなかなかイメージが固まっていないケースが多く、その具体的なイメージを引き出すのが、請け負う側の提案能力になりますが、施主には、その段階で積極的に、主体的にご自身の意見を示して提案されたプランをどんどん煮詰めていってほしいのです。
自分が新しい家でどんな生活を送りたいのか、そのためにはどんな家を要望するのか、を知っているのは、当たり前ですが施主本人(家族も含め)しかいません。

この段階で、自分自身の要望を業者に理解してもらう努力をしないで、「プロの言うことだから・・・」と業者側の提案を漠然と受け入れてしまうと、実際に完成して住み始めた後に、重要な部分で「こんなはずではなかったけど・・・」と、不満や後悔が生じることにもなりかねません。

もちろん、自分自身が積極的に関わり、自信をもって家づくりに臨んで完成に至ったとしても、完璧な家づくりというものは非常に難しいものです、というより完璧ということはまずありえないでしょう。「あーすればよかった、こうすればよかった。」という部分は多少出てくる可能性はあります。
ただし、施主自分自身が真剣に考え、参加した家づくりというのは、家の重要な部分でのイメージとの乖離、不満や後悔が少なくなると思いますし、なにより業者任せにせずに自分自身が積極的に関わった家というのは、その家に対する愛着も湧きますし、その家を大切にしていこうと気持ちが強くなると思うのです。

以上のことから、これからの家づくりには、施主参加型の家づくりが必要だと考えている訳です。

忘れないでください。

施主は、家づくりにおいては、自分自身が主役、総指揮者であり、最終的な責任者です。

総指揮者である施主は、専門的な部分を自分自身に代わって業者にお願いするだけで、その意識が「お金さえ支払えば後は専門家である業者がうまくやってくれて、その出来栄えの責任は全て業者にある。」というようなスタンスでは、家づくりは多分うまくいかないでしょう。

【第1部:日本で家を建てるなら知っておきたいこと】

  1. 日本の住宅事情
  2. 日本の住宅産業
  3. 日本の工務店の特徴
  4. 日本の気候・風土
失敗しない注文住宅のための最重要ポイントとは?

このサイトでは注文住宅の家づくりに関していろいろな情報を提供していますが、その目的は注文住宅の家づくりに成功していただきたい、というただ一点に集約できます。

それは、裏を返せば、注文住宅を建てたけれどその後の新居での生活に不満が残る、後悔している部分がある、という方が結構いるという現状認識に基づいています。

簡単にはいかない注文住宅の家づくりですが、失敗しないためポイント(成功するためのポイント)は多岐にわたります。

このような数多くのポイントの中で管理人が最重要ポイントを位置づける点は何でしょうか?

公開日:
最終更新日:2016/09/23