注文住宅に備わっているべき性能

「注文住宅に備わっているべき性能」とは何かと言えば、それは、そこに暮らす人の快適性、安心・安全性、家の耐久性・耐震性、環境へのやさしさといったものです。

具体的にはどのようなものでしょうか？

結露やカビが発生しにくい

家にとっての大敵である結露防止は、家を長持ちさせるために必須の条件ですし、カビの発生は、木材の腐食につながり、カビアレルギーなど健康に悪影響を及ばすため、防がなくてはなりません。

全室で温度差が少ない（ヒートショックが少ない）

冬場で暖まっているのが、リビングだけで、それ以外の部屋の温度が低いと、トイレや浴室などへの移動する際に、特に高齢者の方には温度差で体に大きな負担になります。ヒートショックにより血圧が急激に上昇して倒れる事故は、残念ながら毎年多く発生しています。家の中の温度差を少なくすることは、快適性、そして健康な暮らしに必要な条件と言えます。

昼夜、季節の温度差が少ない

これも快適に生活するために求められる点です。断熱性能が高ければ、就寝時に暖房を消して、起床時には急激に温度が低下していて寒くてなかなか起きられない、なんてことにはなりません。

エネルギー効率が高く、省エネルギーである

地球温暖化が進行している現在、家での生活にも、省エネルギー、二酸化炭素の排出量を少なくすることが求められます。

室内空気環境が良好である

シックハウスの問題で、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質が原因物質として取りあげられました。そうした化学物質以外にも、空気中には、カビの胞子、花粉、ホコリ、ダニの糞などが舞うおそれがあります。これらは、人の健康に甚大な影響を及ぼす恐れがあります。きれいな室内空気環境は健康で快適な暮らしに絶対必要です。

遮音性能が高い

外の音を遮ると同時に、家の中の生活音をなるべくもらさないようにすることは、プライバシーの観点や、近隣の生活環境にとって必要な点です。

耐震性が高い

残念ながら、大地震の被害は最近も後を絶たず、今後も大地震の備えは必ずしておかなければなりません。生活の基盤である家が損壊することは避けなければならないのは言うまでもありません。

耐久性が高い

耐震性は、地震という瞬間的なエネルギーに対して耐える性能ですが、その一方で長年の風雪や生活の使用に耐えうる耐久性も必要です。日本の家の寿命は、欧米と比較して著しく低いのが実態ですが、居住者にとっても、環境への影響にとっても、長持ちする耐久性の高い家が求められています。

防犯性が高い

昨今日本の犯罪に対する安全性への信頼は揺らいでいます。これからは、ますます個人の安全は個人で守る時代になっていくでしょう。家の防犯はそうした背景もあり、強化されていかなければなりません。

将来のライフスタイルの変化に対応しやすい

家で生活する人の暮らしは、変化していきます。長持ちする家が求められる一方で、将来におこるだろうライフスタイルの変化（出産、子供の巣立ち、自身の高齢化など）に対応しやすいことが求められます。

デザイン性がお客様の感性にマッチしている

デザインは、高断熱・高気密の代表的な指標であるQ（熱損失係数）値やC値（相当隙間面積）のように、数値化できるものではありませんが、お客様の感性という情緒的なところに関係する非常に重要な要素です。デザイン性がお客様の感性にマッチしなければ、いくら数値上の家の性能がよくても、見た眼で肌に合わないことになりかねません。デザインの役割はとても大きいのです。

家族のコミュニケーションが活発になるスペースである

これも重要な点です。家は家族というコミュニティーを育む場（器）です。
例えば子供が部屋に閉じこもり、TVゲームにばかり熱中するような生活環境は感心できません。家族どうしのコミュニケーションが活発になるようなスペースを提供できることも家の大事な役割だと考えます。

居住スペースを効率的に活用できる

資金や土地などに余裕があるなら、ゆとりをもった設計も考えられますが、なかなかそういうわけにはいかないケースの方が多いのが実態です。限られた条件の中でいかに居住スペースを効率的に活用できるかも求められます。

高齢者の生活にやさしい

高齢化社会、超高齢化社会へと突入している日本では、高齢者に負担の少ない生活環境を提供することは、今後の家の重要な役割です。

地球環境に配慮している

様々な産業で地球環境への配慮が強く求められる今、それは家づくりにおいても同様です。前述した省エネルギーや家の長寿命化はもちろん、家づくりにおいても、環境負荷の低い資材を使用するなどの対応が必要です。

他にもあると思いますが、だいたいこのくらいが「注文住宅に備わっているべき性能」であり、これらを実現している家は、施主の家族の幸せ実現を後押しするに違いありません。