何をいまさらと思うかもしれない、注文住宅の家づくりにおけるコミュニケーションの重要性
別に家づくりに限ったことではありませんが、コミュニケーションがうまくとれているかどうかは、物事の成否の一要因になります。
家づくり、ここでは建売住宅を購入することは含みませんから、つまり注文住宅のことですが、これは完成品ではないので、施主は細部にわたっていろいろなことを決めていかなければなりません。
そして、決めたことは、家づくりに関係する人たちに正確に伝わるようにしなければなりません。
(それがそうそう簡単ではないのですが・・・)
家づくりが自分一人で完結するなら、コミュニケーションは必要ありませんが、通常は家が完成するまでに多くの人が関わります。
いわば、注文住宅の建築は施主をプロジェクトリーダーとするプロジェクトチームとしてすすめてられていくわけです。
このプロジェクトチームをうまく機能させていくために必要な潤滑油とも言うべき役割がコミュニケーションだと思います。
家づくりのコミュニケーションは以下の3つがあります。
どれが欠けてもプロジェクトとしてうまくまわっていきません。
- 施主の家族間のコミュニケーション
- 施主と業者間のコミュニケーション
- 業者間のコミュニケーション
それぞれについて説明していきましょう。
目次
施主の家族間のコミュニケーション
まず、施主の家族間のコミュニケーションですが、施主は、家づくりをスタートするにあたって、家族ときちんとコミュニケーションをとっているでしょうか?
意外と施主が単独で走りすぎてしまっていることも多いのではないかと感じています。
注文住宅を施工する場合、独身で一人ということは稀ですから、家族、それも夫婦だけでなく、子供がいるケースが多くなります。
そうした場合、家族の要望をうまく引き出し、要望を取りまとめるのは、施主の役割です。
家族の要望は全て実現できるものではありませんが、業者との打ち合わせを積み重ねることで、できること、できないことがわかってきますから、そうしたことも家族に伝えていく必要があります。
つまり、家族間のコンセンサスは常にとっておくということです。
まずは、新しい家で、家族としてどのような暮らしを望むのか、家族のコミュニケーションを図り、優先順位を明確にしておきましょう。
さらに、業者とのやり取りも伝えておくことで、家づくりの進捗もわかり、家族の家づくりの意識も高まると思います。
家族みんなが暮らす家なのですから、家族とコミュニケーションをとっておくのは当たり前ですよね。そういう意識は持っておいておく方がいいでしょう。
施主と業者間のコミュニケーション
次に、施主と業者間のコミュニケーションですが、この点で最も大事な目的はお互いの信頼関係を築くということです。
業者とのコミュニケーションには違いありませんが、金額交渉にばかり熱を入れたり、建築の専門領域までにやたらと口をはさむことには問題があります。
なぜなら、信頼関係が築けないからです。
施主にとって施工金額は安いにこしたことはありません。
しかし、相見積もりを繰り返し、駆け引きによって金額を大幅に引き下げることは業者との信頼関係を崩し、業者は大幅に引き下げられた内容の施工にしようとします。
完成品である建売住宅では、価格を引き下げるだけ引き下げても施工内容には変化ありませんが、これから施工する家に関しては施工内容が変化することは大いにあり得ることなのです。
さらに、建築の専門内容にまで、やたらと口をはさむことも、業者の感情としてはいいものではありません。
それでは、信頼関係を築くための業者とのコミュニケーションとは何でしょうか?
それは、施主の役割を踏まえたコミュニケーションです。
施主が業者とのコミュニケーションで最も大事にしなければならないのは、家族の要望を取りまとめて「家に対する希望を業者に具体的に伝える、理解してもらう」ということです。
この家づくりに真剣に取り組む姿勢が信頼関係を構築していきます。
業者は、こうした施主からの要望に真正面から向き合い、それらに沿った提案としていく必要があります。いい加減なものは出せませんから、業者にとっても真剣勝負です。
このようなやり取りで、施主にとっていい提案がなされ、いい判断ができるようになっていくのです。
しかし、特にお任せの意識が強い人はこの点が不足していることが多いように感じます。
お任せ意識の強い施主の方は、受け身の姿勢が強いので、業者が提案してくれたものについて、イエス・ノーの判断をすればいいと考えているわけですが、肝心の「要望を具体的に伝える、業者に理解してもらう」という施主からのコミュニケーションがおざなりになっていることがあります。
そうなるとなかなかいい提案が出てこないということにもなりかねないのです。
施主本来の役割を知り、業者と信頼関係を築く努力をしましょう。
それは、必ず家づくりにいい影響を及ぼします。
業者間のコミュニケーション
最後は業者間のコミュニケーションです。
これは、施主には直接関係ありませんが、当然うまく図られている必要があります。
家づくりは、一つの業者だけで完成することはありません。
実に様々な専門の業者が関わります。電気、空調、塗装、タイル貼り、クロス貼り、バス・トイレなどの設置など、それぞれに専門の業者があり、請け負った施工業者が仕様、発注、スケジュールなどを管理します。
まさにチームワークを必要とする作業なのです。
そこで大事なことはコミュニケーションです。
施工業者は中心となって、間違いのないようにそれぞれの業者とコミュニケーションを図らなければなりません。
優れた施工業者なら、信頼できる様々な業者と連携し、うまくコミュニケーションがとれていることは間違いありません。
施主からは、この辺をうかがい知ることはほとんどできないと思いますが、コミュニケーションの大切さはこのような点にも関わってきます。
相手は自分の鏡
以上家づくりのコミュニケーションとして3つお話ししましたが、最後に「相手は自分の鏡である」について触れておきましょう。
以前、NHKの「ためしてガッテン」でやっていましたが、笑顔で話すと、相手も笑顔で応対してしまう実験がありました。
人は自然とそういう反応になるんですね。
むっつりしている人には、むっつりとした反応。
笑顔の人には、笑顔の反応。
まさに「相手は自分の鏡」なのです。
このことは、コミュニケーションをうまく図るためにうまく使えます。
信頼関係を築くなら、相手を信頼すること。
相手に真剣に対応してほしいなら、自分が真剣に取り組むこと。
「相手は自分の鏡」を意識しておくと、家づくり以外のコミュニケーションの場でも使えそうですね。
2016/06/10