注文住宅の坪単価は参考になるのか?
注文住宅の坪単価は単純に比較できない
注文住宅の価格については、ハウスメーカーの広告やCMで「坪20万円台でできる家」というように坪単価をよく見かけると思います。
ローコストメーカーと言われるハウスメーカーは必ずと言っていいほど、坪単価をローコストの指標として提示しています。
会社側には、確かに総額では比較しにくい家の価格を、一坪当りの金額にすることによって、自社の家の価格のお得感をアピールする狙いがありますが、お客様にとっては、注文住宅の価格というのは、そんな簡単に比較して、安いか高いかを判断できるものではありません。
なぜなら、会社によってその坪単価の前提となる内容がかなり異なるからです。
みなさんは、「坪単価」とは「注文住宅の価格」を「施工面積(坪単位)」で割った「一坪あたりの価格」ということはご存じかと思います。しかし、その前提となる「注文住宅の価格」と「施工面積」については定義づけがされてないのです。
まず、「注文住宅の価格」についてですが、これは大きく分けて、「本体工事費用」「別途工事費用」「諸費用」という種類があります。
(詳細はこちら⇒注文住宅の費用の内訳を知ろう!)
通常「坪単価」を計算するときは、「本体工事費用」だけで行うケースが多いのですが、「本体工事費用」だけで家が完成することはありえません。「別途工事費用」と「諸費用」は100%発生します。
「別途工事費用」には、電気・ガス・水道といったライフラインに関わる工事、解体工事、造成工事、地盤改良工事などが含まれます。これらの費用はざっくり総費用の15-20%かかると言われています。
また、「諸費用」は税金関連、登記などに関わる手数料関連、保険関連、祭事、引っ越しなどの費用ですが、これも本体工事とは別ですで、施主によってかかる費用とそうでない費用もありますが、ざっくり総費用の5-10%程度はかかるケースが多くなります。
そして注意しなければならないのは、施工会社が示す坪単価のベースとなる本体工事価格の仕様では満足のいく家にならないために、ほとんどのケースで「オプション工事」が発生するということです。
「オプション工事価格」については、会社側の提示する仕様と、お客様の選ぶ仕様との差額ということになりますが、会社側が提示する仕様については、かなりそぎ落とした内容になっているケースが多く、例えばコンセント一つをとってみても、「オプション工事価格」として発生するケースも出てきます。結局、実際に見積りをとってみると、追加コストが多く発生して、結局それほど安くなかった。」というような話が出てくるのです。
更に「施工面積」をどこまで含めるかも会社によってマチマチです。まず建築確認申請を出すときの延床面積と必ずしも同じではないことは知っておいた方がいいでしょう。バルコニー、テラス、玄関ポーチの面積を含めるケースもありますし、吹き抜け部分を含めることもあります。
このように、「注文住宅の価格」と「施工面積」の両方が明確に定義されていないため、全く同じ工事内容でも、会社側の定義の仕方だけで安く見せることが可能になっているというのが現状です。
また、会社側が坪単価を計算する基準の家の施工面積にも注意が必要です。
家というのは、子供服などと同様に、小さいほど割高になるからです。会社側が、例えば「坪単価28万円。延床面積40坪以上の場合に適用」と提示しているとすると、延床面積40坪以上という一般的には広い施工面積を条件にして、坪単価を安く見せているということになります。
以上のことから、坪単価を単純に比較することはあまり意味がないことはご理解いただけると思います。
もし坪単価を比較したいなら、面倒でも「注文住宅の価格」と「施工面積」の内容について把握した上で、同じ条件をベースに比較してください。ただし、各社同じ条件に揃えるのは正直難しいのは否めませんが・・・
価格妥当性をどこで判断するのか?
坪単価が比較指標としては、あまり意味がないとすると、どうやって金額の妥当性を見出せばよいのでしょうか?
注文住宅の価格の妥当性を計るのを難しくしているのは、見積り手法の統一基準がないこともそうですが、当たり前ですが同一の注文住宅が基本的に存在しないため内容の比較がそもそもしにくいことにあります。
結局規格商品ではないため、業者間の見積り金額をいくつも提示してもらっても、絶対値としての金額の高低はわかりますが、どの金額が妥当かなんてわかりません。もちろん安ければ負担が少なくて表面上はいいですが、単純に安ければそれでいいという訳でもないのです。安ければ安いなりの仕様になっていたり、安いなりの工数配分になっている可能性があります。
結局最終的な拠り所となるのは、業者への信頼感になると思います。
信頼できる業者は価格も妥当な見積りを提示してくれるだろう、という前提です。
そのためには、信頼できる業者の選定が大事です。
業者選定は簡単ではありませんが、注文住宅の家づくりの成功のためには、非常に需要なポイントになることは間違いありません。
2018/11/15