耐震+制振の家づくり
第1部の「日本の気候・風土」で説明していますが、日本では、どこに家を建てても、地震の危険性が伴いますので、地震に対する備えは家づくりには必須です。
2016年には大地震は起きる可能性は低いを思われていた熊本県に大地震が発生し、残念ながら日本全国どこでも大地震に対する備えが必要だということが裏付けられた形になっています。
このような背景により、住宅の地震対策の重要性が繰り返し叫ばれていますが、家づくりにおける地震対策のポイントとは、何でしょうか?
それは、地盤と家づくりの工法・資材です。
まず地盤についてですが、地盤の強度には大きなバラツキがあり、そもそも地震に強い地盤とそうでない地盤があります。
したがって、まず土地選びが重要なことは間違いありません。
【参考:注文住宅を成功に導く後悔しない土地探し6つのポイント】
よく言われるように、地名に水にまつわる漢字が使用されていたとしたら、要注意です。昔、その地が水の影響を受けていた軟弱な地盤の可能性があります。
ただし、それはあくまで参考程度であるため、土地を決めた後に、実際にどのくらいの強度があるのか地盤調査は必ず行うべきです。
隣の土地に問題がなかったからと言って安心はできません。すぐ近くでも、地盤に大きな差があることはよくあります。
まず、地盤調査を行い、地盤の現状把握を行った上で、地盤の強度(地耐力)が不足しているならば、地盤改良工事を行う必要がありますし、更に地中深くまで杭を打ち込む工程も必要になるかもしれません。
一つ目のポイントである地盤に対する備えができたら、次は家づくりの工法・資材になります。
基礎については一般的にはベタ基礎が地震に強いと言われていますが、その他の点については建築業者ごとにバラツキがあります。
日本の一戸建て住宅で最も多いのは、在来工法(木造軸組工法)ですが、この方法はかつて地震に弱いとされてきました。
しかし、現在ではいろいろな対策により、その耐震性はかなり高まっています。
耐震性を高めるということは、簡単に言えば、家を頑丈にするということです。
方法としては、接合部分の金物の適正使用(むやみやたらに多く使用すればいいというものではありません。)、筋かいの有効利用、構造用耐力壁の使用などによって、家の剛性を高めて、地震に対抗しようとしたわけです。
このような背景により、国の耐震基準として住宅品質確保促進法で耐震等級1~3が定められました。(耐震等級3は1の1.5倍)
しかし、近年、地震の周期が住宅に与える影響についての研究が進み、従来のこうした耐震だけに頼る地震対策だけでは不十分だと言われています。
耐震のように地震エネルギーとまともに対抗するだけではなく、地震の力を吸収するような技術も住宅にも求められているのです。
その方法の一つが、マンションなどにも取り入れられている免震技術ですが、これを木造住宅に採り入れるのはかなりコスト増になるので、より採用しやすい技術としては制振技術になります。
(制振工法は免震に比べてコストが安く、現時点でもかなりの木造住宅に採用されています。)
耐震+制振
これがこれからの地震対策として家づくりに求められるポイントになると思います。
こちらの記事もご参照下さい。
【多分まだ多くの人が知らない、建築における地震対策の盲点とは?】
【第2部:これからの注文住宅に求められること】
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最終更新日:2016/09/23